TOP SA MAGAZINE 旬の果物の色や味わいを引き出す“スイーツの宝石”
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Mine to Mine®
〜鉱山から私のもとに届くまで〜

旬の果物の色や味わいを引き出す“スイーツの宝石”

ものづくりの背景には、作り手の感性や技術とともに、産地へのこだわりやリスペクトの想いがあります。さまざまな分野で活躍する女性に輝きの秘密をうかがいながら、サザンアフリカのダイヤモンド鉱山で採掘された原石がダイヤモンドジュエリーとなるまでの確かなプロヴェナンス(来歴)とトレーサビリティ(生産履歴)を誇るSABIRTHとの共通項を探ります。

 

【Vol.5 岩柳麻子さん/PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI シェフパティシエール】

毎日の中で自由に楽しめるお菓子を目指して

東京都世田谷区等々力の閑静な住宅街の一角にある「ASAKO IWAYANAGI SALON DE THĒ 」。削ぎ落とされたシックな内装の空間に柔らかな日差しが差し込むパティスリーのオープンキッチンでみずみずしい桃と向き合っていたのは、シェフパティシエールの岩柳麻子さん。
「私の祖母は手づくりのお菓子をお客様にお届けする仕事をしていたり、母も料理研究家の叔母の仕事を手伝っていたことがありました。そんなわけで幼い頃からおやつといえば家でつくったお菓子だったのです」
愛情がたっぷり詰まった手づくりのお菓子を食べながら、逆にお店で売っている華やかなスイーツに憧れも抱きつつ育ったという岩柳さん。しかし最初にご自身が選んだのはファッションの道でした。「桑沢デザイン研究所では、ファッションの基礎とデザイン、染色を学びました」

作品制作の資金づくりのために飲食店でアルバイトを重ねるうちに、自分の店を持ちたいと考えるように。
「カフェやアイリッシュパブ、アンティーク家具店に併設された飲食店の立ち上げなどを手伝ううちに、自分が製作したテキスタイル作品を展示した空間で美味しいものを食べていただけたらと思うようになったのです。
そんな思いから飲食の勉強を始めてみると、お菓子づくりの技術が理想に追いついていないことに気づき、まずはそこから学ぼうと決意しました」
毎年のようにフランスに渡り、本場の菓子づくりを学ぶ中で見えてきたのは、人々の日常生活の中にスイーツが根付いていること。
「駅の売店でシュークリームやエクレアを売っていたり、住宅街にもそこここに美味しいパティスリーがあったり。暮らしの中に当たり前のように洋菓子がある。お誕生日やクリスマスなど特別の日のためのケーキだけではなく、毎日カジュアルにスイーツを楽しめたら素敵だなと思いました」。
こんなお菓子が好き、こういうスイーツが食べたい、この素材で何ができるか……たくさんの出会いから模索し、イメージを膨らませ、2015年にオープンしたパティスリーは、行列ができる人気店に。今ではスイーツ好きの聖地ともいうべき場所になっています。そして2021年に開いたサロン・ド・テでは、朝食やランチも展開。スイーツとドリンクのペアリングの提案など、スイーツから広がる岩柳さんの世界は、今も進化を続けています。

山梨の果樹園で育った旬の“果物様”への感謝と敬意

岩柳さんの代表作の一つが“パルフェビジュー“。その名の通り宝石のように美しいパフェからは、デザインや染色を学んだ岩柳さんの美意識が感じられます。季節のフルーツとクリームやソースが何層にも重なり合い、スプーンを入れるたびに異なる味や食感に出会えるよう、ノートやスケッチブックに設計図を描くことも。
「季節によってはもちろん日によって変わる果物に、さし色、味、食感のアクセントを添えて、どう美味しく食べていただくかを考えています」

そんな岩柳さんが果物の美味しさに目覚めたのは、ご主人との出会いがきっかけでした。
「夫の実家が山梨でフルーツ農園を営んでいるのです。美味しく美しい果物を生産するために土曜日も日曜日もなく果物に合わせて生活している生産者の方々を知ることで、ブドウやサクランボのひと粒のありがたみを感じるようになりました」。
粒が揃っていなかったりちょっと欠けている食材も、細かくカットしたり煮込んだり加工することで美味しく使い切る。
「完璧なサクランボだけでつくるより大きさや甘み、酸味の個性が違うものを入れてつくる方が魅力的な場合もありますし、桃にしても最近は熟した柔らかいものが好まれがちですが、硬い桃をマリネしてソースと絡めてお出しすることもあります。旬の“果物様”の状態に合わせて、どう美味しく食べていただくかを考えるのが私たちの日々の仕事です

撮影の間に惚れ惚れするような手際で“タルト・フリュイ・セゾン”を仕上げた岩柳さん。カットされた桃は、和の柑橘を用いたソースとミント、ディルの葉とともにタルト生地にあしらわれ、ヨーグルトのジェラートを添え、美しいひと皿が完成しました。


スイーツの一瞬の美と、ダイヤモンドの永遠の美の共通項

実は岩柳さんのお父様は宝飾関連の仕事に携わっており、岩柳さんにとってはお菓子と同様に宝石も幼い頃から身近な存在だったのだそう。
「父の宝石の買い付けに同行したこともありますし、淡水パールでジュエリーをデザインしてみたこともありました。一番の思い出は幼い私が手を繋いだ時にいつも母がつけていたリングですね。今は私が譲り受けてますが、身につけると景色や思い出、色々なことがフィードバックします」。

果樹園で大切に育てられたフルーツが岩柳さんの手で美しいスイーツとなりテーブルに上がるまでにストーリーがあるように、SABIRTHのダイヤモンドもまた、サザンアフリカのダイヤモンド鉱山での原石の採掘から研磨、ジュエリーに仕立てられてお客様のもとに届くまで、ひと粒ひと粒が遥かな旅のストーリーを宿しています。「フルーツは、食べれば消えて無くなってしまいますし、スイーツの中には一瞬で溶けてしまうものもあります。一方でダイヤモンドのジュエリーは母から私へ、その先の世代まで受け継がれるもの。でも、どちらにも私たちのテンションを上げてくれるパワーがあるように感じますね」。

そんな岩柳さんは未来に向けて、新しいプロジェクトにも取り組んでいます。
「山梨の古民家を改装して拠点をつくリ、畑で野菜や果物を育てるための準備をしています。若いスタッフも増えてきましたので、食材について原点から学び、一つの作物を育て上げるのがどれだけ大変かを体験を通して共有し、身につけていく場にしていきたいと考えています。まずは比較的育てやすいと言われる野菜からスタートしたのですが、100%上手く育つと言われた野菜でも100%とはいかないことを学んでいます。それでも昨年は自分たちで育てたタマネギを使ったキッシュをお店で提供することができました。軌道に乗るには10年はかかると思いますが、ここで得たものがまた新しい創作の源になるのではと思っています」

一瞬の美、一瞬の美味しさのために、素材にこだわり、山梨の地で新たな挑戦をはじめた岩柳麻子さん。彼女が手がけたスイーツに出会い、口にしたときめきは、ダイヤモンドの輝きのように永遠に記憶に残り続けることでしょう。

古代エジプトでは再生や永遠を願う守護的な意味合いを持っていたモチーフは、SABIRTHのブランドロゴにもあしらわれている“誕生”のアイコンです。  ネックレス/BIRTH®〈PG×ダイヤモンド〉¥396,000

ダイヤモンドの煌めきが連なり、毎日の手もとを華やかに演出。エタニティリング/DEBUT〈PG×ダイヤモンド〉¥297,000

【PROFILE】
岩柳麻子 / ASAKO IWAYANAGI
東京都生まれ。桑沢デザイン研究所を卒業後、染織家として活動しながら独学で経験を積みパティシエールに。2005年pâtisserie de bon coeurを始動。2015年にPÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGIをオープン。2018年ASAKO IWAYANAGI PLUSを、2021年ASAKO IWAYANAGI SALON DE THÉをスタート。