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〜鉱山から私のもとに届くまで〜

Vol.18 葉山で育てたハーブを通じて心も体も健康な未来へ

ものづくりの背景には、作り手の感性や技術とともに、産地へのこだわりやリスペクトの想いがあります。さまざまな分野で活躍する方々に輝きの秘密をうかがいながら、サザンアフリカのダイヤモンド鉱山で採掘された原石がダイヤモンドジュエリーとなるまでの確かなプロヴェナンス(来歴)とトレーサビリティ(生産履歴)を誇るSABIRTHとの共通項を探ります。


【Vol.18 大橋マキさん/アロマセラピスト、一般社団法人「はっぷ」代表理事】


人に触れられ香りに癒される体験に感動して

神奈川県の三浦半島西部に位置する、葉山町。大橋マキさんはこの地で、認知症や高齢者の方々とハーブなど植物を活用した庭づくりや園芸療法を行っています。

アロマセラピーとの出会いは、アナウンサーとして活躍していた20代のとき。
「情報番組の取材でアロマセラピーのサロンに行ったのが最初の出会いです。当時は仕事が忙しく、朝も夜も関係ないような生活を送っていたのですが、セラピストさんにタッチしていただくと一気に体も心もほぐれたのです。その心地よさは、ついうとうとしてしまうほど。こんなに優しく人に触れられたことがあったかしら?という驚きとともに、気づかないうちに凝り固まっていた自分が開かれたような気がしました」。

アナウンサーとして言葉を通してのコニュニケーションに葛藤していた中で出会った“五感”に働きかけるアロマセラピーの世界。

「翌日には通信講座を申し込んで勉強を始めていました。でも最初の体験での感動が大きかった分、机上の理論だけでは物足りなくなってしまって。もっと深く知りたい、学びたいと考えるようになりました」。

植物に由来する芳香や精油を用いて心身の健康やリラクゼーション、ストレスの解消ヘと導くアロマセラピーは、ヨーロッパでは古代より普及し、民間療法として取り入れられていました。しかし当時の日本はまだ、健康のための補完療法として用いられるアロマセラピーが、あまり知られていなかった頃。深く知り、学ぶためにと大橋さんは会社を辞し、単身、イギリスへと渡ります。

「本来だと一年はかかるプログラムだったのですが、当時婚約していたこともあり、頑張って2つのコースを同時に受講し、半年間で植物療法について学びました。テレビ局ではアナウンサーとして伝え手の役割を担っていましたが、大きな組織の中で報道の一部にしか携われないことに消化不良を感じていた部分もありました。そこで、イギリスではアロマセラピーなどの補完療法と現代医療が複合的に実践されている統合医療についてゼロから自分で取材し、タブロイド紙に連載させていただきました。会社員では味わえなかった充足感がありましたね」。

帰国後も出版社に何度も足を運んで、ライターとして自ら企画した連載記事の仕事を獲得。“アロマの賢者”と呼ぶべき専門家への取材を重ね、アロマセラピーの魅力を発信するようになりました。

香りにあふれ、天然のアロマでいっぱいの葉山を拠点に

その後、東京の病院でアロマセラピストとして6年間、入院生活をする高齢者と向き合った大橋マキさん。

「アロマセラピーは、人が人に触れることと植物の香りを通じて人間性の深みに入っていくもの。私自身、背骨の病気に悩まされていた中学・高校の頃に母が背中に触れてくれた時の感触は今も忘れられません。病院での経験は、人との関わりも含めて今の私の骨肉となっています」。

葉山へと移り住んだのは、15年前のこと。
「夫の仕事で東京〜オランダのアムステルダムと転居を重ねたのですが、アムステルダムではさまざまな人種の人たちが皆、とてもリラックスして暮らしていたんです。運河の街で自転車でどこへでも行けてしまい、車に乗っていると格好悪いと思わせるような、自然との距離が近い街。水辺で夕焼けを眺めた時に“ああ、東京で働いている時にこんなにゆっくり景色を眺めたことはなかったな”と考えさせられ、帰国後は東京ではなく海や山に近い土地に住みたいと思うようになりました」。

もともと生まれは北鎌倉。幼少期には沼津で暮らしたこともあり、湘南は身近な土地だったという大橋さん。地域の行政からの依頼で介護者を対象としたアロマセラピー講座を始めるうちに活動の幅が広がっていきます。

「葉山の空気は自然の香りにあふれていて、地元の方たちには海外製の精油よりも野山で感じる四季の香りの方が身近なんです。それで周囲の方々に一緒に畑をやりませんか?と声をかけたのです」。

集まったのは介護中の人たちや育児世代、医療介護のプロなどさまざま。認知症や高齢者の方々も一緒に、畑づくりが始まりました。

「福祉の仕事に関わって偉いね、などとおっしゃってくださる方もありますが、私の中にはそんな意識は全くなく、高齢者の方々には学ぶことばかりです。葉山には、こんな元気なおばあちゃんになりたい!と思わせてくれるロールモデルがたくさんいらして“幸せなエイジングって何だろう”と日々、自分自身の将来の姿と重ねながら向き合っています」

素肌に触れる香りとダイヤモンドで、毎日を豊かに

太陽の下で働き、畑で育てたハーブによる蒸留水は、日常のさまざまな場面で活躍。一般社団法人「はっぷ」では他にも、ハーブティなどの開発・販売や、綿を育てて紡いだり籠を編んだりする部活、“葉山和ハーブ”のイベントも行っています。身近に育つ植物を古くから暮らしの中で活用してきた葉山の古老の方々の生活の知恵を集め、「葉山 和ハーブ手帖」という書籍も編纂、さらに大橋さん個人としても地域の余剰植物から抽出した精油を使った「じもとの洗剤」のサポートをしています。

大橋マキさんが葉山で育てたハーブから広がる活動に従事するように、サバースもまた、ダイヤモンド原石の産地にこだわり、サザンアフリカの鉱山からの採掘から研磨、ジュエリーへの仕立てまですべての行程を追跡できるトレーサビリティを大切にしています。

「ダイヤモンドは人生の大切な場面に寄り添ってくれる宝石。ハーブも同じですが、どこの土、どこの土地から生まれたものか、自分のもとに届くまでの旅と出会いの奇跡を感じられると、より感動が深まるのではないでしょうか。祖母や母から受け継いだリングは結婚指輪と一緒に日常的に身につけています。畑に出て、汗をかき日焼けする日々ですが、そこに一粒ダイヤモンドがあると、心までキラッと輝く気がしますね」と大橋さん。これからは15歳になる娘さんと一緒に楽しむことも視野にジュエリーを選んでいきたい、と語ります。

「どちらも素肌に触れるものだからでしょうか、香りのまとい方とダイヤモンドのつけ方は似ているように感じます。指先や耳もとにさりげなく香らせたり輝かせたりすることで、毎日が豊かになる気がします」。

葉山の地で自然に囲まれ、色々な世代の人々と関わりながら自然体で暮らす大橋マキさん。「地元・葉山の高齢者の方々の植物とともに素敵に歳を重ねる姿を知るほどに、アロマセラピーは単なる癒しではなく、生きる力を引き出し、自分で“癒えていく”ものだと感じるようになりました。私自身も“ハッピーエイジング”を目指していきたいと思っています」

アフリカ大陸南端の「希望峰」にインスピレーションを得た、身につける人の未来を明るく輝かせるペンダントとピアス。リングはイエローゴールドとプラチナのエタニティを隣同士の指に。

ペンダント/ GOODHOPE〈Pt×ダイヤモンド〉¥3,960,000
ピアス/ GOODHOPE〈Pt×ダイヤモンド〉¥1,760,000
リング・左/ETERNITY〈YG×ダイヤモンド〉¥399,300
リング・右/ETERNITY〈Pt×ダイヤモンド〉¥399,300

【PROFILE】

大橋マキ/MAKI OHASHI

1999年フジテレビジョンに入社し、アナウンサーとして活躍。2001年退社し、渡英。植物療法について学ぶ。帰国後はライターとして、またテレビやラジオの仕事の側ら、都内の病院にてアロマセラピストとして活動。2001年、葉山町社会福祉協議会主宰の「介護者のためのアロマセラピー講座」を3年にわたって開催後、「はっぷ」の前身グループを発起。2018年一般社団法人「はっぷ」設立。
https://www.happ.life