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〜鉱山から私のもとに届くまで〜

Vol.25 北海道のお茶の店に育まれ、音楽と日本茶の融合を目指して

ものづくりの背景には、作り手の感性や技術とともに、産地へのこだわりやリスペクトの想いがあります。さまざまな分野で活躍する方々に輝きの秘密をうかがいながら、サザンアフリカのダイヤモンド鉱山で採掘された原石がダイヤモンドジュエリーとなるまでの確かなプロヴェナンス(来歴)とトレーサビリティ(生産履歴)を誇るSABIRTHとの共通項を探ります。


【Vol.25 Azumiさん/シンガー、DJ、日本茶アドバイザー】

 


音楽を拠点にファッション、そしてお茶の世界へ

音楽ユニット「Wyolica(ワイヨリカ)」のヴォーカルをはじめ、ミュージックシーンで多彩な活動を続けるAzumiさん。
「歌の楽しさに目覚めたのは小学校6年生のとき。音楽の時間に先生から、いい声をしていると言っていただいたのがきっかけです。中学生からボイストレーニングに通いはじめ、17歳でバンドを組んで、初めてステージに立ちました」。

レコード会社の担当者にオーディションへの参加を勧められ1999年に「Wyolica」としてデビュー。以降、多くのアーティストとのコラボレーションやDJとしても活躍する傍ら、ファッションシーンでもリーバイスのキャンペーンモデルをつとめたり、ステージで着用するために自身でつくったことからヘアアクセサリーブランド「Tuno by Azumi」を立ち上げるなど、多方面から注目を集めてきました。

そんなAzumiさんの札幌のご実家は、日本茶の店。
「祖父は京都で昭和2年に創業した茶商問屋、実家は札幌で50年続いている日本茶の店です。まもなく創業100年になります。とはいえ私はずっと音楽のフィールドで活動してきましたし、常に身近に美味しい日本茶があることは当たり前すぎて、特に深い興味も抱かずに育ちました」。

意識が変わったのは、コロナ禍を経験したこと。
「うちのお茶を飲んでみて、あらためて“やっぱり美味しいな!”と感じたのです。パンデミックで父も気弱になっていましたし、この機会にお茶のことや経営を勉強してみたら、何かできることがあるかもしれない、という思いを抱きました。まずは、昭和女子大学のキャリアカレッジ「跡取り娘人材育成コース」を半年間受講しました。同時期にネットで簡単にアクセスできる「日本茶検定」に挑戦したのですが、初歩のものでもかなり難しくて……。2022年に資格を取得した「日本茶アドバイザー」は、歴史、製造法、茶業、化学、法律、なかでも健康科学や栽培に関することでは、成分分析や、抗がん作用、繁殖法や病害虫防除、農薬、お茶畑の排水問題…などと、膨大な知識量が必要で、聞いたこともない化学式やカタカナ用語、難しい単語が多く、この年齢になってこんなに勉強することになるとは……という日々でした」。

淹れ方と産地、加工でまったく変わるお茶の味

「日本茶アドバイザー」の資格取得のための勉強の中で、Azumiさんが特に興味を持ったのが歴史とともに、お茶の成分・効能に関することでした。

「お茶の味は、主に苦味・渋味・旨味・甘味という4つのバランスで決まります。お湯の温度と水の量と時間で、抽出される成分は全く変わるのです。低温で淹れるとカフェインやカテキンはあまり抽出されず、テアニンというアミノ酸が多く抽出されるので、旨味と甘味がゆっくり広がります。お湯の温度が高いと苦味と渋味が増す。茶道をお稽古していたので抹茶を点てることはよくありましたが、煎茶は格段に難しく、ちょっとの差で味も成分も全然変わります。驚きました」。

茶葉の産地についても学びは沢山ありました。Azumiさんのご実家で主に扱っていたのは、掛川茶、八女茶、宮崎茶、知覧茶など。
「掛川茶は、製造工程の蒸し時間が長い深蒸し煎茶が主流。実は北海道で初めて深蒸し茶を提供したのがうちの実家なのです。八女の玉露は旨味と甘味が強いので、50度くらいのお湯とお猪口ほどの小さな茶器で少量召し上がっていただくと、お出汁のような旨みを味わえます。二煎目からは80度くらいの通常のお湯の量で淹れていただいても美味しく、カフェインとカテキンの苦味も楽しめます」。

さらに茶葉は、仕上げや加工によって同じ産地の茶葉でもお茶屋さんによって味が変わるとAzumiさんは語ります。

「実家の父の信念は、誰でも手軽に美味しく淹れられるお茶、そして北海道の水道水で美味しく淹れられるお茶を提供することでした。父曰く、本州などの水は、長い月日をかけ、時には急流や滝、岩に揉まれて切磋琢磨しながら、まるで人の心のように次第に丸くまろやかになっていく。比べて北海道の水は山から低地までの距離が短いので、若くて強い。よってお茶の香りが負けてしまうのだと。その水に負けないように香りを強くする仕上げにしました。うちが提供を始めた頃は敬遠されがちだった深蒸し茶ですが、次第に「深蒸し茶なら、ここの店」と親しまれるようになっていったのです。もちろん、北海道の水でも誰でも美味しく淹れられるお茶は、東京で飲んでも美味しいです」。

音楽とお茶を楽しめるイベント「茶の音」

Azumiさんは現在、音楽とお茶をコラボレーションしたイベント「茶の音(ちゃのね)」を行っています。ライブやDJに加え、抹茶とお菓子や、お茶を使ったオリジナルカクテルを提供。

「今日は水出しの新茶と玉露ハイ、抹茶ビール、そしてポン酢でいただく玉露の茶がらをご用意しました。音楽を入り口にすることで普段はお茶に触れない層の方たちにもお茶の美味しさを知っていただき、産地や淹れ方の話が広がるのも嬉しいですね。ライブハウスにはイベント後も“あの抹茶ビールは今日は飲めないの?”といったお問い合わせがあるそうです」。

Azumiさんが茶葉の産地や淹れ方にこだわって音楽との融合を目指すように、サバースもまた、ダイヤモンドの産地にこだわり、サザンアフリカの鉱山で採掘された原石が研磨され、ジュエリーに仕立てられてお客様の元に届くまでのルートを明確にしています。

「実家の父は今、シングルオリジンにも興味を持っていて、どこの農家さんの誰がつくった茶葉かを示した銘柄を提供できないかと考えているようですが、ダイヤモンドも産地や携わる人が明確になると安心できますね。ダイヤモンドやパールって重厚感があるものですが、今日身につけたジュエリーはどれも軽やかで身につける人を可憐に見せてくれるように感じました。特にリングはつけた手を見るだけで気分が高揚するし、つけた瞬間に自分をプラスにしてくれる。ダイヤモンドって特別な石なのだなとあらためて感じました。今日、用意した茶道具は祖母から譲られたものですが、ダイヤモンドやパールも、代々受け継いでお金では買えない思い出を加えていくものだと思います」。

2024年はWyolicaデビュー25周年の節目の年。
「楽曲のリリースやライブを予定しています。また、5月6日には恵比寿ガーデンプレイスのブルーノートプレイスでのイベントにDJとして参加するのですが、 5月4日から6日にはお茶の提供も行うことが決まりました。いつかは音楽とお茶を融合したお店を開きたい、お茶フェスも開催してみたい、そんな夢を抱いています」。

色や素材の異なるアイテムも自由に“盛る”ことで華のある手元に。ダイヤモンド×パールのジュエリーは南アフリカ原産のワックスフラワーがモチーフ。

(左上から時計回りに)
ブレスレット(左)/ORANGE RIVER〈Pt×ダイヤモンド〉¥913,000
ブレスレット(右)/ ORANGE RIVER ¥3,630,000
リング/WAX FLOWER〈YG×ダイヤモンド×アコヤパール〉¥434,500
ペンダント/WAX FLOWER〈YG×ダイヤモンド×アコヤパール〉¥434,500
ピアス/WAX FLOWER〈YG×ダイヤモンド×パール〉¥693,000

リング(上)/ PREMIUM COUTURE〈YG×ダイヤモンド〉¥528,000
リング(中)/ PREMIUM COUTURE〈YG×サファイア〉¥1,210,000
リング(下)/ GOOD HOPE〈Pt×ダイヤモンド〉¥1,760,000

 

【プロフィール】
Azumi
札幌生まれ。1999年Wyolicaのヴォーカルとして大沢伸一プロデュースでデビュー。GLAY、Steady&Co.、FLOW等、様々なアーティストのフィーチャリング・ヴォーカル、CMソング、ナレーションやDJ、俳優としても活躍。2012年ヘアアクセサリーブランド「Tuno by Azumi」を設立。2022年日本茶アドバイザー資格取得。Instagram:@xx_azumi_xx