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Mine to Mine®
〜鉱山から私のもとに届くまで〜

Vol.24 バッグブランドでウガンダのシングルマザーを支えたい

ものづくりの背景には、作り手の感性や技術とともに、産地へのこだわりやリスペクトの想いがあります。さまざまな分野で活躍する方々に輝きの秘密をうかがいながら、サザンアフリカのダイヤモンド鉱山で採掘された原石がダイヤモンドジュエリーとなるまでの確かなプロヴェナンス(来歴)とトレーサビリティ(生産履歴)を誇るSABIRTHとの共通項を探ります。


【Vol.24 仲本千津さん/RICCI EVERYDAYオーナー】

緒方貞子さんに憧れて目指した海外支援活動

東京・神楽坂にほど近い「RICCI EVERYDAY」のショールーム。通り越しにウインドウを覗くと、アフリカンプリントの鮮やかな色と柄が目に飛び込んできます。ここを拠点に、ウガンダで製造したバッグや小物を販売しているのが、仲本千津さん。

「中学生の頃に学校の授業で見た映画『シンドラーのリスト』に強い衝撃を受けました。どうして人は自分たちの利益を追求するために人を殺すのだろう……。考えても考えても答えは出ず、でも、誰かの命を救いたいと考えるようになったのです」
当初は医師を目指すことも考えましたが、数学がまったく得意ではなく、進路について迷っていた17歳の時に見たのが、日本人で初めての国連難民高等弁務官として活躍していた緒方貞子さんのドキュメンタリー。
「戦争や紛争で弱い立場となる人々を守り、命を救う……私もこんな仕事をしたい!と目標を見つけて早稲田大学に進み、国際関係論を学びました」。

卒業後はサブサハラアフリカ(アフリカ大陸のサハラ砂漠より南の地域)の民族紛争を研究。
「紛争の背景には貧困があることが私にも見えてきました。そんな頃にインターンとして参加したのが『TABLE FOR TWO International』です」。

企業や大学などの食堂でヘルシーな特別メニューを選択することで、食事代の一部が開発途上国の子どもたちの給食代として寄付される。代表の小暮真久さんの活動に啓蒙され、社会起業家を目指すことに。
「30歳までにアフリカの貧困解決に寄与する事業を立ち上げる。そのためにはまず社会に出て学ぶことも必要と考え、大手銀行に就職しました」。
銀行で働き始めて2年が過ぎた頃、アフリカで農業支援を行うNGOに転職。日本とアフリカを繋ぐ仲本さんの新たな一歩が始まりました。

カラフルでパワーに満ちたアフリカンプリントを素材に

「NGOでナイジェリア、マリ、ウガンダ、エチオピアといったサブサハラアフリカの国々の農業支援を担当した中で、治安が良く人が優しくて居心地が良いと感じたのがウガンダでした。都市部などは私の地元の静岡よりも栄えていますし、食べ物も美味しい。でも、女性の立場は弱く、紛争やAIDSで夫を亡くした女性もたくさんいるのです。彼女たちと一緒にビジネスを立ち上げることで貧困を解決できないか、そのためにはどんなビジネスが適しているのか。現地の大豆を使った豆乳アイスクリーム屋さんなども考えてみましたが、それが正解とも思えませんでした」。

日本とアフリカを往復しながら考える中で出会ったのが、エチオピアの羊の革を使ってエチオピアの人が縫製したバッグを日本で販売している鮫島弘子さんでした。
「プロボノ(仕事で培ったスキル・経験等を提供する社会貢献活動)としてお手伝いしながら、アフリカでのビジネスやファッション業界のことを学ばせていただきました」。

その後、NGOに願い出てウガンダの駐在員となった仲本さんは、仕事の合間を見つけては起業のアイデアを探しました。そして市場の布地店で見つけたのが、アフリカンプリントだったのです。

「いくつかの布を購入し、街の仕立て屋さんで服やバッグを作ってみたところ、日本の友人たちの評判は上々。これならビジネスになる!と事業を立ち上げたのです」。

ブランドのアイコンとなっている“アケロ”という名のトートバッグをはじめ、製造に携わるのはウガンダのシングルマザーの女性たちです。
「最初は縫い目がガタガタだったり、ポケットが裏表逆についていたり。このままでは日本の消費者の審美眼には叶わない……と頭を抱えたこともありました。でも彼女たちはとても熱心に学んでくれ、技術の高い人材も集まってきて、品質の向上とともに何とか軌道に乗っていきました。現在、工房では革を手縫いする人、ミシンで縫う人、検品する人、合わせて17人に働いてもらっています」。

安心できるものが選ばれる時代の新たな選択肢

「“アフリカンプリント”を名乗るからには、コピー製品でなくきちんとアフリカ現地で生産された布地を使用すること、また、染色の排水が自然環境を破壊していないことも大切です。西アフリカのガーナに良い工場があると聞き、飛び込みで交渉。ホロホロ鳥やツバメの定番柄からシーズンごとに変わる新作柄までデザインも秀逸で環境への負荷も少ない工場と取引できることになりました。ウガンダとガーナは飛行機で10時間以上かかるのですが、日本のきもの地のように認証タグが付いているので安心。現在では定期的に買い付けに出向いています」。

ガーナで生まれたアフリカンプリントをウガンダの女性たちが仕立てるバッグに仲本さんが情熱を注ぎ続けているように、サバースもまた、ボツワナ、南アフリカ、レソトというサザンアフリカ産のダイヤモンドにこだわり、鉱山または原石から、ジュエリーに仕立ててお客様のもとに届くまでのトレーサビリティを大切にしています。
「どこの国のどこの鉱山から生まれたのかが明確になることでよりクリーンで安心でき、産出国や携わる現地の方にも還元できるのは良いことだと思います。RICCI EVERYDAYではマサイビーズや牛の角、水草を編んで染めたものなどのアクセサリーも扱っていますが、こうしたポップなアフリカンジュエリーを、ダイヤモンドやゴールドのジュエリーと組み合わせても面白いと思います。個人的にはこの道に進もうと決めた時にCHIZUという名入りのネックレスを購入して、このネックレスと“Do What you have to do(やるべきことをやれ)と刻まれた結婚指輪は、シャワーの時も寝る時も、お守りがわりに肌身離さず身につけています」。

現在ではアフリカンプリントのバッグに加えて、レザーや木の皮、ペーパービーズなどの素材を使用したバッグや小物なども展開しているRICCI EVERYDAY。

「コロナ禍を経て、自社の工房だけでなく、ウガンダの色々なクリエイターを支援する仕組みを作りたいと考えるようになりました。それぞれの持ち味、強みを生かしたものづくりができたら良いなと思っています」。

アフリカの空に輝く南十字星をモチーフとしたリングとネックレスを中心に、耳元にはイヤカフとスタッズピアスで輝きをリフレインして。

リング(左上)/ORANGE RIVER〈Pt×ダイヤモンド〉¥1,100,000
イヤカフ(左下)/ORANGE RIVER〈Pt×ダイヤモンド〉¥660,000
ペンダント(中央)/FOREVER STAR SOUTHERN CROSS〈Pt×ダイヤモンド〉¥2,220,000
リング(右上) /FOREVER STAR SOUTHERN CROSS〈Pt×ダイヤモンド〉¥1,375,000
ピアス(右下)/GOOD HOPE〈Pt×ダイヤモンド〉¥1,299,000

【プロフィール】
仲本千津/CHIZU NAKAMOTO
静岡県生まれ。一橋大学大学院法学研究科修士課程を修了後、日本の大手都市銀行、アフリカ支援NGOでの勤務を経て、ウガンダへ。現地のシングルマザーと組んでバッグの工房を立ち上げ、2015年「RICCI EVERYDAY」を創業。海外で模範となる日本人起業家に贈られる「国際アントレプレナー賞」など、受賞多数。https://www.riccieveryday.com