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〜鉱山から私のもとに届くまで〜

Vol.22 佐久産のコシヒカリを使ったおにぎりを多くの人に

ものづくりの背景には、作り手の感性や技術とともに、産地へのこだわりやリスペクトの想いがあります。さまざまな分野で活躍する方々に輝きの秘密をうかがいながら、サザンアフリカのダイヤモンド鉱山で採掘された原石がダイヤモンドジュエリーとなるまでの確かなプロヴェナンス(来歴)とトレーサビリティ(生産履歴)を誇るSABIRTHとの共通項を探ります。

 

【Vol.22 竹内未来さん/Onigily Cafeオーナー】


事務所の片隅で始めた、おにぎりのケータリングビジネス

代々木公園にほど近い商店街の入口。「Onigily Cafe」には、この界隈で働く人、一人暮らしの若者、愛犬との散歩の人……と、年代も性別もさまざまな顧客で早朝から夕方まで賑わいが続きます。

オーナーの竹内未来さんがおにぎりの仕事を始めたのは30歳の時でした。
「新卒で就職したのはファッション関係の会社でした。その後、OLを経て25歳で独立、フリーランスでOEMの仕事をしていました。会社を設立して5年目くらいの頃に、ファッション誌の編集の仕事をしている友人との雑談で、早朝の撮影の際に用意する朝食の選択肢が少ない、という話になったのです。家で私が作った家庭料理を食べることもあったので“おにぎり屋さんをやってくれたらいいのに”と。その言葉に背中を押されて食品衛生の資格を取得、工務店を経営している父に改装してもらって事務所の片隅にキッチンを増築し、3ヶ月後にはおにぎりのケータリングをスタートしました」。

夜明け前からおにぎりを握り、早朝に指定された撮影場所まで自転車や電車で届けたり、ロケバスがピックアップに来たり。日中は当時の“本業”であったOEMの仕事をこなし、その後、翌日のケータリングの仕込み……。開業当初は睡眠時間を削って大車輪でこなしたケータリングビジネスは、モデルたちや雑誌関係者からの評判が評判を呼び、2013年には調理スタッフも加わり、軌道に乗ってきました。

「洋服やファッション小物のサンプルが並ぶ事務所の一角でおにぎりを握るのには限界を感じ始めた頃、近くで空き物件を見つけました。カフェで儲けようということよりも、実店舗のあるお店の方が既存のケータリングのお客様に安心してもらえるのではないかとの思いからOnigily Café中目黒店をオープンしたのです」。

店舗は、おにぎり屋さんというよりもワインやカフェオレが似合いそうなお洒落な空間です。
「おにぎりだから和風であるべきとか地味にする必要はないと思いました。おにぎりメインの体にも優しいほっこりとした定食を提供する、女性一人でも入りやすいお店を目指して始めました」。

つくりたてでも冷めても美味しいお米選び

2023年には代々木公園に2号店をオープン、老若男女にファンを増やしているOnigily Cafe。おにぎりにはスタート当時から、竹内さんの出身地である長野県佐久産のコシヒカリを使用しています。

「近くに田んぼのある土地で育った私ですが、正直、地元にいる頃にはそんなにお米を意識することはありませんでした。長野のお米ってこんなに美味しかったんだ!と、気付いたのは東京に出てきてから。そして特におにぎりに使うお米は、時間が経った時に本領を発揮します。お米屋さんでいろいろな種類のお米を購入して試してみたのですが、空気を含んだ状態を保ちつつ、冷めてもベチャッとならず、握った後もお米の一粒一粒を感じられるお米として最終的に納得できたのが佐久産のコシヒカリだったのです」。

粒が大きくて粘りがあり、噛むほどに甘みを感じられる長野のコシヒカリ。その長所を引き出すために、炊き方や握り方も研究を重ねました。

「ご飯の炊き上がりが変わるので、新米と収穫から時間のたった時期のお米では水の量を調節しています。握る時はお米の点と点がくっつくようにフワッと握るのがポイント。誰が握っても同じおいしさになるよう、テイクアウトのおにぎりは手の中で2回転、店内で召し上がっていただく時には3回転、と、握り方のマニュアルも作りました」。

Onigily Caféでは鮭のような王道のおにぎりに加え、明太子×クリームチーズや、ゆかり×納豆、半熟玉子など、60種類近いメニューから週替わりで14種類を展開。イートインではおにぎり2個におかず3種類をワンプレートに載せお味噌汁がつく定食も人気です。

「お米と海苔のバランスも大切ですね。厚みがありすぎるとバリバリして食べにくいですし、薄いと風味に欠けるので、海苔屋さんに相談してベストなものを選んでいます。今は有明産の海苔を使用していますが年によって出来が違うので、いくつか食べ比べて決めています」。

品質に誇りを持って、お米やダイヤモンドの産地に還元を

最近はOnigily Cafeの後を追うように、ちょっとしたおにぎりブームが起こっていますが、“映え”だけを追いかける一過性のブームにはしたくないと竹内さんは語ります。

「カフェのインテリアは若い方にも行ってみたいと思っていただくためのあくまでも突破口。 “食べてみたらめちゃめちゃお米が美味しい!”と再認識してもらえることが何より大切だと思っています。Onigily Cafeでは60種類以上のバリエーションがありますが、一番食べてみていただきたいのは、お米そのものの味がわかる塩むすび。食べること、つくることが好きでケータリングから始めた仕事ですが、おにぎりに携わってみて、お米ってこんなに奥が深かったんだ……と学ぶことの多い毎日です」。

竹内未来さんが長野県佐久産のお米にこだわるように、サバースもサザンアフリカ産のダイヤモンドにこだわり、良質なダイヤモンド原石が産出される鉱山での採掘から研磨、ジュエリーに仕立てられてお客様のもとに届くまでの道のりを明確にしています。

「農家の方が手間暇と愛情をかけて生産したお米がおにぎりになってお客様に届くまでにもストーリーがありますが、ひとつのものが生まれ、色々な人が携わって製品となるまでの過程を知ることは大切ですね。ダイヤモンドは高価なものですが、サバースのジュエリーは産地であるサザンアフリカの方たちにもきちんと還元していると聞いて安心しました。ジュエリーも食品も、少しでも安く、という事ばかりに執着すると品質が危うくなっていってしまいます。なぜこの価格なのか、お客様に納得していただけるクオリティを示し、つくり手や産地にきちんと換言していくことが理想ですね。お店ではデニムにTシャツが基本なのでジュエリーは必ずプラスしています。ピアスホールを左右で3個あけているので、モチーフものなどデザイン性のあるピアスにシンプルなスタッズピアスを組み合わせるのもいいですね」。

「米粉素材のパンなど、小麦粉アレルギーの方でも召し上がっていただけるメニューの試作を重ねています。これからもお米を中心に、からだにやさしく美味しいものを拡げて、日常的に気軽に使っていただけたらと思っています」。

南アフリカの国花プロテア種の「ペトロ」。ピンクゴールドの花芯モチーフとプラチナの花弁モチーフを組み合わせて重ねづけ。

ペンダント(右)/Petro(花弁モチーフ)〈Pt×ダイヤモンド〉¥418,000
ペンダント(左)/Petro(花芯モチーフ)〈Pt×ダイヤモンド〉¥528,000
ピアス(右)/Forever star /SOUTHERN cross〈Pt×ダイヤモンド〉¥715,000
ピアス(左)/GOOD HOPE〈Pt×ダイヤモンド〉¥434,500 ※両耳価格
リング(右)〈Pt×ダイヤモンド〉¥399,000
リング(中)〈YG×ダイヤモンド〉¥217,000
リング(左)〈Pt×ダイヤモンド〉¥217,000

 

【プロフィール】
竹内未来/MIKI TAKEUCHI
長野県生まれ。アパレル会社、OLを経てフリーランスでOEMの仕事に携わる。2012年、おにぎりのケータリングサービスを開始。2014年8月、東京・中目黒に「Onigily Café」をオープン。2023年10月、2号展となる代々木公園店をオープン。2024年は「米」「米粉」を中心とした新しいビジネスも展開予定。